スナークの憂鬱

場末の基礎系大学教員がね、ときどき何かを吐き出したり、真顔で法螺を吹いたりする。

投稿された論文がどんなプロセスを辿るか

ジャーナルに投稿された論文原稿の、基本的な流れは以下のようになっています。

 

 

1. 著者 → ジャーナルの編集委員長(Editor-in-chief)

著者は、ジャーナルの編集委員長あてのお手紙(カバーレター、Cover Letter)とともに、論文の原稿や図表のデータを送ります。

 

2. 編集委員長 → 担当編集委員(Handling Editor)

編集委員長は、その原稿が査読(審査、ピアレビュー、Peer Review)に値すると判断したら、担当編集委員へ原稿を送ります。

 

3. 担当編集委員 → 世界中の研究者(査読者)

担当編集委員は、その論文を適切に審査できる(複数の)研究者を探し、論文を査読してくれるかどうかを依頼し、承諾を得られたら原稿を送ります。

 

4. 査読者 → 担当編集委員

査読者となった研究者は、原稿がジャーナルへの掲載に値するかどうかを判定し、不十分な点などをコメントとして記述して担当編集委員へ返します。

 

5. 担当編集委員 → 著者

担当編集委員(and/or 編集委員長)は、査読者のコメントを見て、ジャーナルへ掲載するかどうかを判定し、その結果を著者へ返します。

 

 

 

判定結果が・・・

 

「不受理(Reject)」ならアウト。終了です。他のジャーナルへどうぞ。

 

「掲載可(Accept)」であれば、掲載料を支払って校正に進みます。

 

「修正(Revision)」であれば、査読者のコメントに対応するように原稿を修正したり、そのコメントにお返事を書いたりして、再び編集委員へ修正原稿を送ります。査読者が納得してくれるまで続きます。場合によっては実験や解析をいちからやり直さないとコメントに返せないこともあります。

 

 

 

編集委員としては、3の査読者を探すプロセスが一番しんどいです。みんな忙しいし、よほどテーマが自身の研究内容に合致していて、かつ、興味深そうな内容でないと査読してくれないんですよね。

 

無償だし・・・。

 

 

 

著者の中には「早く査読してくれ」って編集委員にメールを送ってくる方も居るんですが・・・査読者が見つからないのよ。。なかなか引き受けてくれないのよ。。

 

というわけで「早く査読してくれ」って書いたことのある研究者の皆さん、ご自身が査読依頼を受け取った際には積極的に引き受けてくださいまし。。

 

 

※意訳:ただいま査読者が見つからず困っています