スナークの憂鬱

場末の基礎系大学教員がね、ときどき何かを吐き出したり、真顔で法螺を吹いたりする。

総説論文の扱い方

大学院生への初期・研究活動の講義では、最初に総説論文(Review論文)を読んで自身の研究テーマの分野に関する概要をおさえるように、と伝えています。

 

英語の専門用語で躓くこともあるので、最初の"とっかかり"としては日本語の総説がおススメ、とも。

 

日本語の総説・解説論文で大まかに把握して、その後に英語の総説論文を読んでより詳細を掴むのがベターかなと思ってそう勧めています。

 

最終的には、総説論文で引用されていた原著論文を読んで、総説の内容の裏どりをしたり、方法や結果の正確さ、その解釈の妥当性などを読み解き、さらには総説に掲載されなかった関連論文も芋づる式にみつけられるので、それらをできるだけ読んで自身の研究の序論・目的の設定や考察に役立てる、というのが基本的な研究の進め方だと私は理解しています。

 

 

つまり、基本的には、総説論文は自身の知識を広めるために用いて、その元になっている原著論文を自身で解釈し引用するのが基本です。・・・が、大学院生の中間発表や論文を見ていると、総説論文自体を引用しているのをよく見かけます。

 

引用しているのがSystematic Reviewだったら良いんです。Systematic Reviewでは先行研究を網羅してメタ分析などを行って、新たな知見としてまとめられているので引用する理由も価値もあります。

 

しかし、先行研究をざっと外観したり歴史的経緯を解説したような、いわゆるLiterature Reviewと呼ばれる総説論文を引用している学生がわりといます。その総説論文はただの紹介記事なんだけど・・・。

 

そこを咎めると「この論文でも引用されています」といった事例を出してきて反論する学生がしたり(クソ論文を真似ちゃダメ)、最悪の場合は(原著を調べた体裁をとるために)総説論文で書かれている文章をそのまま転記しようとする学生もいたり(それ、ST○P細胞の子がやったやつ)。

 

 

情報源(ソース、原著論文)をちゃんと調べることを徹底させるのって難しい・・・。

 

 

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