論文の著者順について、生命科学系や医学・医療系では意味があること(貢献度の順)や、著者順でモメることがあることを記述してきました。
今日は貢献度が同じ著者がいる場合の事例を記述しておきます。
例えば、若い大学院生が二人で研究計画を立てて、二人で実験を行って、二人で論文のドラフトを仕上げる、というような状況はあり得ます。
これで、ふたつの論文が書ければよいのですが、二人でひとつの論文を仕上げたとき、その著者順に困るわけですね。
このようなとき、名前の後ろに、所属の番号に加えてアスタリスクや短剣符(ダガー)などを付けたうえで、"These authors have contributed equally to this study" というように付記することがあります。"Equal Contribution"とのみ記載することもあります。
「貢献度は同じ」とわざわざ付記するわけですね。
この例の場合、これで二人ともが第1著者という扱いにはなります。ただし、実際には1番目と2番目に名前は記述されますし、PubMedのようなデータベースで表示されるときには貢献度が同じことを示す記号が表示されなかったりもします。
どちらも第1著者なのに表記方法の事情で順番がついてしまうので、ちゃんと話し合って決めないと遺恨が残ることもあります。
私がこの論文を講義で使うのは、その貢献度が同じ二人の表示順の決め方についても論文に記述していたからです。
「スマブラ対戦(3回勝負)で順番を決めた」と。
楽しそうで、仲良さそうでいいですよね。