スナークの憂鬱

場末の基礎系大学教員がね、ときどき何かを吐き出したり、真顔で法螺を吹いたりする。

医局メンバー全員を著者にするってありなの?

勝手に投稿論文に名前を入れられてイラっとする話に近いのですが、これはある大学病院の医局で見聞きした話。

 

そこでは、准教授クラスのX先生が第1著者・連絡著者として執筆した論文に、医局員全員を「共著者にしてあげる」というようなことをしていました。貢献度とか関係なく第2著者以降は職位の低い順で、最終著者(ラスト・オーサー)は教授。

 

間に入っている若手~中堅の医師は論文の文章を読んでもいないし、当然内容も把握していません。さすがに教授は内容を確認してたっぽいけど。

 

これ、論文業績の少ない若手医師の業績を水増ししているだけですし、「悪しき文化」として定着してしまいそうで(すでに定着した結果なのかな?)、受け入れ難いなと感じています(そこの医局員でなくて良かった)。

 

 

 

このX先生は執筆がとても速くて、症例報告レベルの文章量であれば年に何本も第1著者の英文論文を発表されてきました。各論文が掲載されたジャーナルのインパクトファクターは高くなくても、半端ない数の論文が出ているので、業績はわりと華々しいというか充実しておられます。純粋にすごいと思います。

 

一方で、X先生はその業績をもっていくつかの大学の教授選に挑んできたものの良縁に恵まれず落選が続いていました。

 

あるとき落選理由を聞く機会があり、「論文の数は多いが、自身が第1著者の論文ばかりで(若手が筆頭の論文が少ないので)指導力に疑問がある。」と評価されていたようです。ポジションが上がった後、または年を重ねた後は、「連絡著者」とか「最終著者」の論文数などが業績として評価されるということなのでしょう。

 

 

私が驚いたのはこの後のことです。それを聞いたX先生はなんと、自身で執筆した論文を、医局の若手を第1著者として出し始めたのです。

 

ゴーストライター・・・若手が一切成長しない悪手だと思います。

 

その時間を執筆指導にあてましょうよ、たとえ効率が悪くても・・・。

 

 

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